
不動産売却では、多額の金銭が動きます。そのため、トラブルは極力避け、スムーズかつ安心できる売却をしたいものです。そこで今回は、不動産売却におけるトラブル事例を、売却前、手続き中、売却後の3つの時系列に分けて紹介します。本記事を参考に、万が一のトラブルに備えてください。
不動産売却前のトラブル
不動産売却に際しては、境界確定や建築法規に関するトラブルが発生する可能性があります。中でも、とくに境界確定に関するトラブルは多いです。土地を売却する前に境界を明確にしておくことは重要ですが、境界確定が未実施の場合、隣地所有者との間で問題が生じることがあります。
たとえば、かつて境界線上に設置されたブロックの所有権を巡る争いが典型的な例です。このような場合、ブロック設置時の費用負担者がどちらであるか、そして境界の位置に関する記録が曖昧であると、双方の主張が食い違うことがあります。
設置費用が小額であれば解決が比較的容易ですが、境界杭が設置されていない場合には境界そのものを巡る重大な争いに発展するかもしれません。現代では土地を売却する際、境界を確定しておくことが一般的です。
境界確定が実施されていない場合、購入者や隣人との間でさらなるトラブルが発生するリスクが高まります。そのため、売却前に隣人との話し合いを冷静かつ慎重に行い、問題を未然に防ぐことが求められます。隣人との信頼関係を保ちながら進めることで、円滑な売却が可能です。
不動産売却手続き中のトラブル
不動産の売却手続き中には、不動産会社との間で取り決めが原因となるトラブルが発生する場合があります。
仲介手数料に関する問題
売却手続き中のトラブルとして代表的なものが仲介手数料に関する問題です。仲介手数料の上限は法律で「売買価格×3%+6万円+消費税」と定められています。
しかし、あくまで上限であり、それより低い額での契約も可能です。売主がこの点について十分な説明を受けていない場合に売買成立後に手数料について交渉を持ちかけた結果、トラブルに発展するケースがあります。
仲介手数料の取引があいまい
さらに、仲介手数料の支払い時期や割合に関する取り決めがあいまいな場合も問題を引き起こしやすいです。たとえば、売買契約時に手数料を支払うのか、それとも決済時に支払うのか、またどの程度の割合を前払いするのかなどの取り決めがそれにあたります。
取り決めが事前に明確化されていないと、売主と不動産会社の間で認識の相違が生じ、最終的にトラブルとなる可能性があります。
売買契約後の解約時のトラブル
また、売買契約が一度成立したものの、その後解約となった場合にもトラブルが生じることがあります。売主としては、取引が成立しなかったのだから仲介手数料は支払わなくても良いと考えるかもしれません。
しかし、不動産会社にとって仲介手数料は売買契約の成立に対する報酬であるため、後に解約された場合でも手数料を請求されることがあります。このような取り扱いについて媒介契約時に事前の取り決めがなされていない場合、解約後にトラブルに発展するリスクが高くなります。
売却手続き中のトラブルを防ぐ方法
不動産売却におけるトラブルを防ぐためには、媒介契約を結ぶ際に仲介手数料や支払い条件、解約時の対応について具体的かつ明確に取り決めを行うことが重要です。
売主としても事前に不動産会社とよく話し合い、説明を受けることで、後のトラブルを未然に防ぐことができます。また、契約内容を十分理解して双方の認識が一致していることを確認しておくことが、円滑な売却プロセスを進めるための鍵となります。
不動産売却後のトラブル
不動産売却後には、瑕疵担保責任に関するトラブルが発生する場合があります。瑕疵担保責任とは、売却した不動産に隠れた欠陥があった場合に、欠陥の補修費用などを売主が負担する義務のことです。
民法では瑕疵を知ってから1年間責任を追及できると定められていますが、規定のままだと売主は売却後も長期間にわたり責任を負う可能性があります。トラブルを防ぐため、通常は売買契約書に引き渡しから〇か月以内などの特約を付けて責任の範囲と期間を限定します。
ただし、特約が適用されるのは売主が売却時に知らなかった欠陥だけです。売却時点で欠陥を認識していながら、それを買主に告げなかった場合は、特約があっても責任を負うことになります。
トラブルを防ぐためには、不利になりそうな情報であっても買主に正確に伝えることが重要です。売却後の不必要な責任や争いを避けるため、誠実かつ慎重に情報開示を行い、契約内容を明確化しておくことが円滑な取引の鍵となります。
まとめ
不動産売却は多額の金銭が動くため、トラブルを防ぎスムーズな取引を行うことが重要です。売却前には境界確定や建築法規の確認不足から隣人トラブルが発生する可能性があり、隣地所有者との話し合いや事前準備が欠かせません。売却手続き中には、仲介手数料の条件や支払い時期を巡る不動産会社との認識違い、さらには契約成立後の解約時の対応がトラブルの原因となります。明確な媒介契約と事前の説明が必要です。売却後には瑕疵担保責任による問題があり、隠れた欠陥への対応が求められるため、誠実な情報開示と契約内容の明確化が不可欠です。これらを踏まえた準備と対応が、安心で円滑な不動産売却の鍵となります。