不動産の売却をする際に気になるのは、不動産価格の推移でしょう。日本の不動産価格は、約10年前から上がり続けており、その状態現在も続いています。不動産を高く売るためには、不動産価格の推移の傾向を正しく把握することが重要です。本記事では、不動産価格がどのように変化してきたか、今後どのようになっていくかの予想を解説します。
直近50年間の不動産価格の推移
まずは、これまでの日本における不動産価格の推移について解説します。不動産の価格と日経平均の直近50年間の推移を見ると、株価と不動産価格は似た動きを示しています。しかし、両者のピークのタイミングには、少しのズレがあります。
株価が不動産価格を予想するための指標とされるなか、株価のピークの約1年後に不動産価格がピークを迎える傾向があります。たとえば、バブル時代では不動産価格のピークは1991年であり、日経平均のピークは1989年でした。
同様に、リーマンショック時も地価が2008年にピークを迎えていますが、日経平均のピークは2006年となっています。不動産価格指数は、2010年平均を100とした価格変動推移を表した指標であり、毎月公表されるので細かな値動きを知ることができます。
この指標によれば、近年はマンションの価格が急上昇しています。これは、土地への投資がバブル時代に旺盛だったのに対し、近年はマンションの高騰が目立っており、投資目的でのマンション購入が増えていることを示しています。
マンションは築年数の経過による価格下落が含まれるため、キャピタルゲイン(売却益)は得にくいと考えられてきました。しかし、近年ではそうとは限らず、立地条件のよいマンションは投資家にとって魅力的な資産となっています。
そのため、土地よりもマンションの方が値上がり益が期待できるとされ、よい立地条件のマンションは投資家によって積極的に取引されています。
現在不動産価格が上昇している理由
不動産価格が上昇している主な理由は、金融緩和によるインフレ、円安による外国人投資家の需要増、そしてコロナやウクライナ侵攻、アメリカの住宅ローンの影響が挙げられます。
金融緩和
金融緩和政策によって低金利が続くなか、住宅ローンを組みやすくなりました。これにより、過去よりも高額な物件を買いやすくなり、市場に多くの資金が流入しました。この資金の流入によって不動産価格が上昇し、さらにインフレが進むと、不動産価格が相対的に高くなります。
円安
また、円安の影響も大きく、日本の不動産市場は外国人投資家からの需要が高まっています。円安によって日本の不動産がさらに割安になり、外国人投資家の関心を集めています。とくに、都心部の立地のよいマンションは、外国人投資家によって多く購入され、新築マンション価格の相場を上昇させる要因となっています。
世界情勢
さらに、コロナ禍やウクライナ侵攻、アメリカの住宅ローンの影響も不動産価格に影響を与えています。これらの要因によって世界的な物価上昇が起き、各国の中央銀行が金利を引き上げる動きがあります。
しかし、日本の金利は上昇していないため、他国との金利差が生まれ、円安が進んでいます。円安によって外国人投資家の需要が増えるとともに、建築費の上昇も加速し、新築物件の価格が上昇します。
新築物件と中古物件の需要は連動性がある
新築物件の価格が上昇すると、中古物件の需要・価格も上昇します。これにより、不動産市場全体の価格水準が押し上げられます。外国人投資家はキャピタルゲインを目的にするため、新築物件を好んで購入し、市場に資金を供給し続けます。
不動産価格の高騰はいつまで続くのか
不動産価格の高騰がいつまで続くかについては、いくつかの要因が考慮されます。
金利政策
一つは日銀の金利政策です。現在の低金利政策が不動産価格の上昇を支えており、日銀が金利を大幅に上げる場合、不動産価格が大きく下がる可能性が高いです。しかし、この場合、国の歳出が増えることになり、歳出削減や増税も同時におこなわれる可能性があります。
とくに、消費税率の引き上げなどが不動産の消費に影響を与え、価格の下落につながる可能性があります。
税制改正
もう一つの要因は不動産関連の税制改正です。現在の税制優遇措置が終了したり変更される場合、不動産市場に大きな影響を与える可能性があります。とくに、住宅ローン控除の縮小や終了は、不動産取引に影響を与え、価格の下落につながる可能性があります。
財政再建
さらに、財政再建がおこなわれる場合も不動産価格に影響を与えるでしょう。現在の低金利政策の根幹には国の放漫財政があります。財政再建がおこなわれると、日銀の金利政策が変化し、不動産価格に影響を与える可能性があります。
まとめ
不動産価格の推移と今後の展望を見ると、金融緩和や円安による外国人投資などの要因が不動産価格の上昇を支えています。とくに、都心部のマンションなどの需要が高まり、新築物件の価格が上昇する傾向がわかりやすいでしょう。
しかし、日銀の金利政策や不動産関連の税制改正、財政再建などの要因によっては、不動産価格の下落が起こる可能性もあります。したがって、不動産市場における今後の動向はこれらの要因に左右されるといえます。
不動産の売却を考える際には、市場の変化や政策の動向をしっかりと把握し、適切なタイミングでの判断が求められます。