
相続で受け継いだ家や土地を売るには、名義変更や遺産分割、税金や費用の確認など事前準備が欠かせません。本記事では必要な手続き、税のポイント、売却方法の選び方や不動産会社の比較まで、初心者にも分かりやすく順を追って解説します。不動産の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
相続した不動産を売却する前に必要な手続きと準備
相続した不動産は、すぐに売れるわけではありません。売却の前に必要な手続きや準備を整えておかないと、あとでトラブルになることもあります。ここでは、誰でもわかるように順を追って説明します。
遺産分割協議を終えておく
相続した不動産が複数の相続人に関わる場合、まず遺産分割協議を行います。これは誰がどの財産をもらうかを話し合い、全員で合意する手続きです。この協議を終えて書面にまとめることで、不動産を売却する際にトラブルを避けられます。全員の署名と押印が必要なので、必ずきちんと記録しておきましょう。
相続登記(名義変更)の完了が必須
不動産を売るには、まず相続登記と呼ばれる名義変更を済ませる必要があります。亡くなった方の名義から、相続人の名義に変更する手続きです。登記が終わっていないと、売却の契約自体ができません。必要な書類には、戸籍謄本や遺産分割協議書、固定資産税の納税証明書などがあります。事前にそろえてスムーズに手続きを進めましょう。
共有名義の場合は相続人全員の同意が必要
不動産を相続人全員で共有している場合は、売るために全員の同意が必要です。一人でも反対があると売却できません。そのため、事前に話し合い、売却の条件や分配方法をしっかり確認しておくことが大切です。必要に応じて、公正証書を作って合意内容を残すと安心です。
相続不動産を売却するときにかかる税金と費用の基礎知識
相続で手に入れた不動産を売るとき、税金や手続きの費用がどれくらいかかるのか、不安になる人は少なくありません。知っておくと、無駄な出費を避けたり、節税対策をとったりすることができます。ここでは、売却時にかかる主な税金や費用、そして節税につながる制度について、わかりやすく解説します。
譲渡所得税・住民税・復興特別所得税
不動産を売って利益が出ると、譲渡所得税と住民税がかかります。譲渡所得税は、売却額から購入額や相続時の評価額、売却にかかった費用を引いた利益に対して課税されます。さらに、東日本大震災の復興費用として復興特別所得税が追加でかかります。
これらの税金は合計で約20%前後になることが多く、売却前にどのくらいの税金がかかるか計算しておくと安心です。
登録免許税や印紙税などの諸費用
不動産を売るときには、税金だけでなく手続きにかかる費用も必要です。たとえば、名義変更の際にかかる登録免許税、契約書に貼る印紙税、さらに不動産会社に支払う仲介手数料などが挙げられます。
これらの費用は税額に比べると少額ですが、合計すると数十万円になることもあるので、売却前にしっかり確認しておきましょう。
節税につながる特例制度
税金を少しでも減らしたい場合は、特例制度を活用する方法があります。たとえば、相続から3年以内に売却した場合の相続税取得費加算の特例や空き家を売るときの空き家特例などです。
これらを利用することで、譲渡所得税や住民税を大幅に減らせることがあります。売却を考える際は、税理士や不動産会社に相談して、適用できる制度を確認することをおすすめします。
相続した不動産を売却する流れとスムーズに進めるためのポイント
相続で手に入れた不動産は、そのまま持ち続けるよりも売却することで現金化でき、生活やほかの資産運用に役立ちます。ただ、不動産の売却は手順が多く、初めての方には少し難しく感じるかもしれません。ここでは、売却の流れを順を追って説明し、スムーズに進めるためのポイントを紹介します。
売却方法を決める
不動産を売るときは、大きく分けて仲介と買取の2つの方法があります。仲介は不動産会社が買い手を探してくれる方法で、時間はかかりますが希望の価格で売れる可能性があります。
一方、買取は不動産会社に直接買ってもらう方法で、手続きが早く確実ですが、価格は仲介より低くなることが多いです。どちらの方法が自分の状況に合っているかを考えましょう。
不動産会社を比較・選定する
売却を任せる不動産会社は、複数社を比較することが大切です。取り扱い実績や手数料、売却スピードなどを確認し、信頼できる会社を選びましょう。口コミや紹介も参考になります。
面談時には、物件の売却価格の目安や売却の進め方について丁寧に説明してくれる会社を選ぶと安心です。
売却活動から契約・引き渡しまでのステップ
不動産会社が決まったら、いよいよ売却活動です。広告や内覧で買い手を募り、条件に合う相手が見つかれば契約を結びます。その後、所有権の移転やカギの引き渡しなどの手続きを行って売却は完了です。スムーズに進めるためには、必要書類を揃え、税金や名義変更の確認も早めに行うことがポイントです。
まとめ
相続した不動産を売却するには、まず遺産分割協議や相続登記で名義を整理し、必要書類をそろえることが大切です。売却の際には、仲介か買取かを決め、複数の不動産会社を比較して信頼できる会社を選びましょう。売却活動では、広告や内覧で買い手を探し、条件が合えば契約・引き渡しを行います。税金や手数料も事前に確認しておくと安心です。準備と確認をしっかり行うことで、スムーズに売却を進めることができます。